大阪高等裁判所 昭和59年(行コ)37号 判決 1986年7月11日
京都市伏見区醍醐御陵東裏町三八番地
控訴人
出野武
右訴訟代理人弁護士
岩佐英夫
同
平田武義
同
中尾誠
同
田中伸
同
杉山潔志
同
吉田真佐子
京都市伏見区鍵屋町無番地
被控訴人
伏見税務署長
中哲夫
右指定代理人
岡本誠二
同
足立孝和
同
田原煕美
同
古本忠顕
主文
本件控訴を破棄する。
控訴費用は控訴人の負担とする。
事実
第一申立て
一 控訴人
1 原判決を取り消す。
2 被控訴人が昭和五一年三月一二日付で控訴人に対してした控訴人の昭和四七年分ないし昭和四九年分の各所得税更生処分のうち、総所得金額が、昭和四七年につき六四万八六八〇円、昭和四八年分につき一〇七万九二二六円、昭和四九年分につき一一〇万八一四九円を超える部分をいずれも取り消す。
3 訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。
との判決を求める。
二 被控訴人
主分同旨の判決を求める。
第二主張関係
次のとおり付加、訂正、削除するほかは原判決事実適示と同一であるから、これを引用する。
一 原判決添付別表一の小栗栖店所在地欄に「公営住宅」とあるを「公団住宅」と改める。
二 原判決五枚目表九行目の「応せず」を「応ぜず」と改める。
三 同七枚目裏末行の「三八七万二四四六円」を三八九万〇三六〇円」と改める。
四 原判決添付別表四の一の<4>特別経費欄の「3,064,632」を「3,066,716」と、<4>の 建物減価償却費欄の「201,597」を「203,683」と、<6>特別控除前の所得金額欄の「4,442,446」を「4,440,360」と、<8>事業所得金額欄の「3,872,446」を「3,890,360」とそれぞれ改める。
五 同九枚目表一〇行目の「株式会社」を削る。
六 原判決添付別表四の五のうち、中西店舗装装備の欄、小計欄及び合計欄を本判決添付別表(一)のとおり改める。
七 原判決一〇枚目表末行の「<7>」を「<6>」と改める。
八 同裏七行目の「三八三万九四〇五円」を「三八三万七三一九円」と改める。
九 原判決添付別表五の一のうち、<4>特別経費欄の「3,059,718」を「3,061,804」と、<4>の 建物減価償却欄の「201,597」を「203,683」と、<6>特別控除前の所得欄の「4,389,405」を「4,387,319」と、<8>事業所得金額欄の「3,839,405」を「3,837,319」とそれぞれ改める。
一〇 原判決一一枚目表一〇行目から末行にかけて「一〇%-仕切減価率」とあるを「一〇〇%-仕切減価率七七・二九%」と改める。
一一 同裏三行目の末尾に「但し、昭和四七年分の書籍の仕切差益率は、昭和五三年分のそれより二パーセント低いので、仕切差益率を二〇・七一パーセントとして計算する。」を加える。
一二 同一八枚目裏五行目の「三八七万二四四六」を「三八七万七三一九」とそれぞれ改める。
一三 同二一枚目裏三行目の「連がる」を「つながる」と改め、末行の末尾に「なお、控訴人の店舗所在地である京都市は、東京都内に比して一パーセント以上仕切差益率が低くなつている。」を加える。
一四 同二二枚目表八行目の次に改行の上次のとおり加える。
「(3) 被控訴人主張の同業者の中には雇人費の少額なものが多く含まれているが、これらは店主一人かその家族だけで営業しているものであり、控訴人のように三店舗にも別れて営業している場合には当然多くの従業員を必要とするから、右のような差異を無視して同業者雇人費率を適用することは不合理であり、また被控訴人主張の同業者はいずれも青色申告者であつてその雇人費には青色専従者給与が含まれていないが、青色専従者給与額は一般に白色申告の事業専従者控除より高額であるから、右の同業者雇人費率をそのまま白色申告者である控訴人に適用するのは合理性がない。」
一五 同九行目の冒頭から同裏三行目末尾までを次のとおり改める。
「(八) 開店及び改装に伴う必要経費について
控訴人は、昭和四八年二、三月頃醍醐店改装のために四一七万〇〇五〇万円を、昭和四九年五月山科店改装のために五五万円を、同年一一月小栗栖店開店のために二二〇万円をそれぞれ支出したが、これらはいずれも開店や改装のための投資であつて平常時の経費とは性質を異にする特別の経費であり、一般経費率に吸収しえないものであるから、書籍陳列台、同ケース等の備品についても特別経費に算入されるべきものである。」
一六 同二三枚目表八行目の「雇人費が」を「雇人費は」と改め、末行の末尾に「は、争う。」を加える。
一七 同裏一行目冒頭から七行目末尾までを削る。
第三証拠関係
本件記録中の原審及び当審における証拠関係目録記載のとおりであるから、これを引用する。
理由
一 次のとおり付加、訂正、削除するほかは原判決理由説示と同一であるから、その記載を引用する。
1 原判決二四枚目表八行目の末尾に「そして原審における控訴人本人尋問の結果(第一回)によれば、山科店の開店の時期は昭和四九年六月であることが認められ、右本人尋問の結果及び弁論の全趣旨によれば醍醐店では文房具の小売もしていたことが認められる。」を加える。
2 同裏一行目の「九号」を「八号」と改める。
3 同二五枚目裏一行目四行目、六行目の各「原告」をいずれも「原審における控訴人」と、八行目の「所得税資産部門」とそれぞれ改める。
4 同二八枚目裏五行目の「集会室」を「集会所」と改める。
5 同二九枚目表一行目の「立ち合わそうとし」を「立ち合わせようとし」と、五行目冒頭から同裏四行目末尾までを「もつとも、昭和五〇年一〇月二二日の調査では、国勢調査等の所用のため店を出た控訴人の後を追つて質問するなどした点で行き過ぎがなかつたとはいえないが、控訴人が調査に極めて非協力的であつた従前の経過からすると、石崎末夫の質問検査権の行使に裁量権の逸脱や濫用があつたとすることは到底できない。」とそれぞれ改める。
6 同三二枚目表一行目の「一定の要件」を「前記被控訴人主張の要件」と改め、六行目の「同業者率」の次に「(但し書籍・雑誌の差益率を除く。)」を加え、原判決添付別表の一の昭和四七年一一月の仕入金額「1241017」を「1241647」と、同合計「16117315」を「16117945」と、昭和四九年一〇月の仕入金額「2758334」を「2759734」と、同一二月の「4945009」を「4945129」と、同合計「31825679」けを「31827199」と、同別表六の二の昭和四七年二月の仕入金額「40446」を「48236」と、同三月の「234157」を「235107」と、同一一月の「273932」を「277002」と、同一二月の「288121」を「288221」と、同合計「2664677」を「2676587」と、昭和四八年一月の仕入金額「219993」を「230133」と、同二月の「△50520」を「△49720」と、同四月の「1362433」を「△49720」と、同四月の「1362433」を「1363913」と、同五月の「650886」を「651316」と、同六月の「299992」を「300672」と、同七月の「657460」を「658140」と、同合計「7148606」を「7162816」と、昭和四九年分の欄に「書籍返品明細書」とあるを「書籍返送品明細書」と、同年二月の仕入金額「674056」を「684046」と、同三月の「440135」を「447295」と、同四月の「952338」を「957568」と、同五月の「1098388」を「1104288」と、同六月の「829891」を「831091」と、同七月の「515420」を「516940」と、同八月の「601488」を「603868」と、同九月の「777431」を「784171」と、同一二月の「2347801」を「2361061」と、同合計「12159101」を「12211481」とそれぞれ改める。
7 同三二枚目裏一行目から二行目にかけて「これらの書証は、いずれも大阪屋が作成した伝票類や回答であるから、」とあるのを「これらの書証のうち、甲第二一ないし六三号証ははせらせにおける控訴人本人尋問の結果(第一回)により、乙第三八号証は原審証人岡山栄雄の証言により、乙第六〇号証の一ないし三は弁論の全趣旨によりいずれも」と、六行目から七行目にかけて「税務署の照会に対する回答であるから、」とあるのを「原審証人石崎末夫の証言により」と、九行目の「原告」を「原審における控訴人」それぞれ改める。
8 同三三枚目表四行目の「日本専売公社が作成したことから」を「原審証人石崎末夫の証言により」と改める。
9 同三四枚目表九行目の末尾に「(原判決添付別表六の一の一二月の欄参照)」を加える。
10 同裏一行目の「原告」を「原告における控訴人」と、六行目の「大阪屋が作成した回答であるから」を「弁論の全趣旨により」とそれぞれ改める。
11 同三五枚目表二行目の次に改行の上次のとおり加える。
「醍醐店の期首、期末の棚卸高は(ア)同様であると推定される。
山科店及び小栗栖店の棚卸高は次のとおり推定される。」
12 同裏六行目、末行の各「原告」をいずれも「原審における控訴人」と改める。
13 同三六枚目表九行目の「原告」を「原審における控訴人」と改める。
14 同裏一〇行目の冒頭から同三八枚目表末行の末尾までを次のとおり改める。
「(2) 仕切差益率
まず雑誌の仕切差益率についてみるに、成立に争いのない甲第一一九、一二〇号証、第一二三号証、弁論の全趣旨により真正に成立したと認められる乙第五八号証の一、二、第六九号証、その方式及び趣旨により公務員が職務上作成したものと認められるから真正な公文書と推定すべき乙第六八号証によれば、社団法人日本雑誌協会、社団法人日本出版取次協会、日本出版物小売業組合全国連合会の三者は、昭和四六年一一月二日、日本雑誌協会所属会員社発行の全雑誌の取次出し正味掛率を昭和四七年二月号から(遅くとも同年三月二〇日までに)従来より二パーセント引き下げて都内七七パーセント、地方七八パーセントとする旨合意し、実施されたこと、一部の雑誌については右の合意通りに引き下げられないものもみられたが、それらの雑誌は専門誌等特殊なものが多く、控訴人方ではほとんど取り扱つていないこと、当時絵本は雑誌として取り扱われていたが、その正味掛率は六〇パーセントであつたこと、京都市は東京都内に準ずる地域とされていたこと、訴訟人が昭和五三年中に取り扱つた雑誌の正味掛率は七六・六九二パーセントであつたこと、以上のとおり認められ、右認定に反する原審(第一、二回)及び当審(第一回)における控訴人本人尋問の結果は信用できず、甲第八四号証の一ないし二九、第九五ないし九七号証、第一三八号証の一ないし七八、第一三九号証の一ないし三九も右認定を防げるものではなく、他に右認定を防げるものではなく、他に右認定を覆すに足りる証拠はない。
右に認定したところによれば、雑誌の仕切差益率は二三パーセント(正味掛率七七パーセント)と認めるのが相当である(昭和四七年分、同四八年分についても同じ)。& 次に書籍の仕切差益率についてみるに、成立に争いのない甲第一二三、一二四号証、第二六号証、第一三五号証、原審における控訴人本人尋問の結果(第二回)により真正に成立したと認められる甲第八一号証、前掲乙第五九号証、当審における控訴人本人尋問の結果(第一回、但し後記措信しない部分を除く。)によれば、社団法人日本書籍出版協会、社団法人日本出版取次協会、日本書店組合連合会の三者は、昭和四七年一〇月一八日、書籍の取次出し正味掛率を従来より二パーセント引き下げ、定価別正味は都内七七ないし八一パーセント(定価六〇〇円未満七七パーセント、同一二〇〇円未満七八パーセント、同三〇〇〇円未満七九パーセント、同三〇〇〇円以上八一パーセント)、一本正味は都内七七パーセントないし八二パーセントとする旨合意し、昭和四七年一二月から実施されたこと、正味掛率の高いものは定価の高いものや専門書等特殊なものが多く、控訴人方での取扱高は比較的少ないこと、京都市は東京都内に準ずる地域とされていたこと、文庫本については右の引下げにより正味掛率七九パーセントとなつたものが多かつたが、昭和五〇年一二月から更に一パーセント引き下げられて七八パーセントとなつたこと、控訴人方の書籍の仕入額に占める文庫本の割合は約二分の一であること、控訴人が昭和五三年中に取り扱つた書籍の正味掛率は七七・二八二パーセントであつたこと、以上のとおり認められ、右認定に反する原審(第一、二回)及び当審(第一回)における控訴人本人尋問の結果(但し当審第一回については一部)は信用できず、甲第八二号証、第九八ないし一一一号証、第一三七号証の一ないし三六も右の認定を妨げるものではなく、他に右認定を覆すに足りる証拠はない。
右に認定したところによれば、書籍の仕切差益率は二二パーセント(正味掛率七八パーセント)と認めるのが相当である(昭和四八年分についても同じ、昭和四七年分については仕切差益率二〇パーセント(正味掛率八〇パーセント)と認める。)。
(3) 雑誌の売上金額
控訴人の雑誌の売上金額は、三七二二万四六一七円となるが、その計算方法は、次のとおりである。
正味掛率(%) 売上原価(円) 年間売上金額 原価更生割合(%)
<3><1>×77=15,346,593 17,937,600 50.0
<4><2>×77=1,399,786 1,581,576 4.6
<5>小売分=13,912,938(注1) 17,705,441(注2) 45.4
合計 30,659,317 37,224,617 100.0
(注1)31,827,199(仕入金額)-1,167,882(期末棚卸高)
-15,346,593(<3>)-1,399,786(<4>)=13,912,938
(注2)(13,912,938-1,520 返り品・原判決添付別表六の一 )÷77%=18,066,776
18,066,776×2%(万引分)=361,335
18,066,776-361,335=17,705,441
(4) 書籍の売上金額
控訴人の書籍の売上金額は、一一八五万三〇二五円となるが、その計算方法は、次のとおりである。
総仕入金額…13,528,941-4,042,521(2,725,059(仕入金額・原判決添付別表六の二)+1,317,462(延払商品・原判決添付別表六の二)=13,528,943
売上原価……13,528,941-4,042,521(2,725,059((期末棚卸高))+1,317,462((延払商品)))=9,486,420
売上金額……(9,486,420-52,380((返送品・原判決添付別表六の二)))÷78%=12,094,923
万引分…………12,094,923×2%=241,898
最終売上金額…12,094,923-241,898=11,853,025
15 同三九枚目表四行目冒頭から同裏末行末尾までを次のとおり改める。
「(1) 雑誌の売上金額
控訴人の雑誌の売上金額は二五六九万一五一八円となるが、その計算方法は、次のとおりである。
売上原価 21,159,080(仕入金額・原判決添付別表六の一)
構成比による売上原価 仕切差益率 小売対応売上
<1> 10%分 10,579,540÷77%=13,739,662
<2> 13%分 973,318÷77%=1,264,049
<3> 小売分 9,606,222÷77%=12,475,613
売上金額
<1> 10%分 13,739,662×(100-10)%=12,365,695
<2> 13%分 1,264,049×(100-13)%=1,099,722
<3> 小売分 12,475,613-249,512=12,226,101
(万引2%)
合計 25,691,518
(2) 書籍売上金額
控訴人の書籍の売上金額は、八九八万一五八二円となるが、その計算方法は、次のとおりである。
(7,162,816((売上原価・原判決添付別表六の二))-14,210 返送品・同別表六の二)÷78%=9,164,879-183,297(万引2%)=8,981,582」
16 同四〇枚目表六行目から同裏六行目までを次のとおり改める。
「(1) 雑誌の売上金額
控訴人の雑誌の売上金額は、一九五六万九七三二円となる。
構成比による売上原価 小売対応売上 売上金額
<1> 10%分 8,058,973÷77%=10,466,198×(100-19)%=9,419,578
<2> 13%分 741,425÷77%=962,890(100-13)%=837,714
<3> 小売分 (7,317,547-630((返り品)))÷77%=9,502,489-190,049=9,312,440
(万引2%)
合計 16,117,945 19,569,732
(2) 書籍の売上金額
控訴人の書籍の売上金額は、三二六万四二三〇円となる。
(2,676,587-11,910((返送品)))÷80%=3,330,846-66,616(万引2%)=3,264,230
17 同四一枚目表一行目冒頭から七行目末尾までを次のとおり改める。
「 控訴人は甲第八五号証を提出して雇人費を実績で計算すべき旨主張するが、給与台帳や給料支払受領証等の的確な資料が提出されないうえ、控訴人の主張に沿う甲第一五一号証、第一五三号証は乙第七〇号証、第七二号証と対比して採用できず、甲第一五〇号証、当審証人田中八重子の証言、原審及び当審における控訴人本人尋問の結果(各第一、二回)もにわかに措信できないから、実額計算が可能であるとはいえない。
次に控訴人は、交通事故による昭和四七年分の雇人費増を主張するが、これについても原始記録等の的確な証拠は提出されず、原審証人出野清の証言はにわかに措信できないから、実額計算によることはできないし、原審における控訴人本人尋問の結果(第一回)によると、控訴人は右事故の加害者であつて被害者でないことが認められるので、右の交通事故をもつて同業者雇人費率の適用を不合理ならしめる特殊事情であるということもできない。
更に控訴人は、控訴人の店舗が三か所に別れていることや青色専従者給与額と白色申告における事業専従者控除額との違いを理由に同業者雇人費率を適用すべきでない旨主張するが、本件雇人費の推計は売上金額に同業者雇人費率を乗じて算定する方法によつているところ、店舗数(売場面積)の増加は売上金額の増加を通じて雇人費に反映しているということができるし、控訴人の店舗が二か所になつたのが昭和四九年六月であり、三か所になつたのが同年一一月であることは前記のとおりであつて期間としても短いうえ、この年には事業専従者が一名増の二名となつていることを考慮すれば、同業者雇人費率を適用することが不合理であるとはいえない。また必要経費の算入につき青色専従者と白色専従者との間に制度上の差異があるからといつて、そのことが本件同業者雇人費率の適用を不合理ならしめる理由となりえないことは明らかである。」
18 同裏一行目冒頭から一〇行目末尾までを次のとおり改める。
「 控訴人の本件係争分の特別経費にかかる原価償却費の計算が原判決添付別表四の五(本裁判添付別表(一)による訂正後のもの)記載のとおりである(但し新大阪土木株式会社にかかる分を除く。)ことは同表掲記の各書証(甲第一一二ないし一一八号証は成立争いがなく、甲第六号証、第八、九号証、第一一号証の一、二、第一二号証の二ないし三、第一三ないし一九号証は原審における控訴人本人尋問の結果(第一回)によりいずれも真正に成立したと認められる。)及び原審における控訴人本人尋問の結果(第一回)によつて認められ、これに反する証拠はない。
原審における控訴人本人尋問の結果(第一回)により真正に成立したと認められる甲第七号証の一、二、当審における控訴人本人尋問の結果(第一回)により真正に成立したと認められる甲第一四五号証の一ないし三によれば、控訴人は、昭和四八年三月醍醐店の改装に際し、新大阪木工株式会社から書籍陳列ケースや見出板等を購入し、合計五七万円を支出したことが認められるが、これらはいずれも器具・備品であつてその原価償却費(五万円未満のものについてはその取得価額相当の費用)は一般経費に属し、特別経費とされるべきものではない。
なお、控訴人は、開店及び店舗改装に伴なう経費は書籍陳列棚、同ケース等備品に当たるものについても特別経費に算入されるべきである旨主張するのが、陳列棚器具・備品の購入費は書店・文房具店であれば通常一般的に必要とされる経費であるから、一般経費率を適用すべき経費の中に含まれるものであり、開店や改装時に購入されたからといつてこれを特別経費とすることは相当でなく、控訴人の主張は失当である。」
19 同二枚目表一行目の「原告」を「原審における控訴人」と、二行目から三行目にかけて「税務職員の調査書であるから成立が認められる」とあるのをその方式及び趣旨により公務員が職務上作成したものと認められるから真正な公文書と推定すべき」と、原判決添付別表八の一ないし三を本判決添付別表(二)ないし(四)のとおりに、九行目の「一八五万一五三七円」を「一七二万四〇一五円」と、一〇行目の「二九八万八五〇五円」を「二八八万八二四一円」と、末行の「四一四万七九九三円」を「三九七万二九七二円」とそれぞれ改める。
二 よつて、原判決は相当であつて本件控訴は理由がないから棄却することとし、控訴費用の負担につき行訴法七条、民訴法九五条、八九条を適用して主分のとおり判決する。
(裁判官裁判官 石川恭 裁判官 堀口武彦 裁判官 小澤義彦)
別表(一)
訂正前
<省略>
<省略>
訂正後
<省略>
<省略>
別表(二) 裁判所の認定額
<省略>
別表(三) 裁判所の認定額
<省略>
別表(四) 裁判所の認定額
<省略>
<省略>